2020年の果樹園便り
北国では初雪の便りが聞こえる季節になりました。
果樹園直送の案内状が届いて、今年もまたそんな季節かと感じる方もいらっしゃるかと思います。
今年はコロナ新型ウイルスで大変な年でした。
会津では大きな県立病院で患者さんが出たくらいで、そんなには広がっていないようです。皆様マスクと消毒は常に心がけていらっしゃいます。
果物の世界では、温暖化や技術革新の影響で少しづつ変わり始めているようです。
当園でも古い品種から優秀な新品種へ、大きな樹から管理のしやすい小さな樹へと切り替えております。同じフジでもより美味しい「極フジ」「未来フジ」「たかねフジ」へ改植しています。楽しみにお待ちください。
また、新たに昨年からシャインマスカット園を作っていて、来年には実りを迎えられそうです。こちらも楽しみにお待ちください。
現在の果樹園の作業は「葉かき」といって林檎に被さっている葉を取る作業が終了したところです。いつもの元気な「おばちゃん組」に混じって今年は新人が入りました。
M君といって10年来引きこもりの青年です。少しでも社会に出したいという家族からの願いで、無理をしないで少しづつやってみるか、と言うことで引き受けました。
挨拶や会話はまだ無理ですが、作業は黙々とこなします。慣れてくると作業時間には支度を調えて待っていたそうです。家族の方が驚いたのは、初めての給料で散髪屋に行って髪を短くしてきたと言うことでした。その話をきいてこちらも嬉しくなりました。
自然の世話をする農業という行為には、人の精神を癒やす効果があるのかも知れません。
福沢諭吉は中津藩(大分県)の下級武士の出身ですが、晩年母親のことをよく話していたそうです。
表を通る女子を家に呼んでシラミを捕る話です。子供の諭吉はその度に、櫛で梳いて落ちたシラミを石で潰す役目を言いつけられるのが嫌でしょうがなかったと言っています。
諭吉の母はシラミを捕らせてくれた少女に「これはお礼だよ」と言っていつもおにぎりを渡していたそうです。後に「人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」と言った平等思想の原点は母親にあったのかも知れません。
何かと生きづらい世の中です。コロナに負けないで頑張っていただくことを祈るばかりです。