2022年の果樹園便り
皆様、お変わりありませんか?今年もまた収穫の秋が巡ってきました。朝夕の冷え込みと共に、果樹園の林檎は赤く色づき始め、葉も緑から黄色へと衣替えの最中です。
今年は、夏の猛暑の影響を心配しましたが、昨年の春霜の様な大きな被害もなく、林檎たちはすくすくと育ってくれました。たわわに実った林檎が、収穫を今か今かと待ち望んでいるようです。
当園の林檎の木は、古いものですと六十年ほど前の木があります。亡くなった初代園主(祖父)が植えた林檎の木です。そのぐらい古い木になりますと、豊作の次の年は不作、不作の次の年は豊作と交互に実を着けるようになります。老木がまるで「今年頑張ったから来年は休むよ」とでも言っているのでしょうか。若木の時に一生懸命に実を着けた老木は、自分に合った生き方を見つけた様な姿で、今日も秋の果樹園を見守っています。
当園のホームぺージをご覧の皆様はご存じかもしれませんが、数年前よりブドウ園を作り栽培しておりました。そして四年目を迎えた今年、やっと販売する事が出来ました。「風待ち農園」として園主の弟が独立をし、頑張っております。嬉しいことに、少量ではありますが、大変好評をいただき、すべて完売する事が出来ました。今後も、ホームページやインスタグラムなどでご報告をしていきたいと思いますので、そちらもぜひご覧ください。
さて、話は変わりますが、今年の五月、当園に長男が誕生いたしました。未来の四代目です。実に六十時間の陣痛に耐えて無事生まれました。妻は「痛いというとお腹の子に聞こえるから」と言って、六十時間一言も弱音をはかなかったそうです。コロナ禍で病院には本人以外は入れず、一人きりでの出産で、とても不安な思いをしたと思うと、本当に頭が下がります。そんな妻の想いを感じて、周りの人を思いやれる優しく強い人に育ってほしいと願うばかりです。
新しい命が生まれ、新しい果実を収穫し、様々な情勢が社会を取り巻いても「変わらないもの」の大切さは、きっとどこにでも転がっています。六十年前の祖父が植えた林檎の木は、今日も変わらず、同じ場所で同じ景色の中で、秋の果樹園と私たちを見守ってくれています。